新年あけましておめでとうございます。平成26年の新春を迎え、年頭にあたりまして、新年のご挨拶を申し上げます。
一昨年末に約3年3カ月ぶりに自由民主党が政権与党に返り咲き、第二次安倍晋三内閣が発足しました。その安倍内閣が長きに亘るデフレ脱却を目指し打ち出した経済政策、いわゆる“アベノミクス”により輸出産業を中心に重厚長大企業では明るさが見えはじめ、株価も上向いております。しかしながら、生活者に最も近い産業である我々流通業界は、薄日が差しつつあるものの本格的な力強さは窺えず、まだまだ予断を許さない状況です。
このような中、昨年10月には本年4月1日からの消費税率8%への引き上げが決定されました。確かにこの状況での税率引き上げは景気の腰折れリスクを伴うものです。しかしながら、人口減少や高齢化という構造変化の中で、年金、医療、介護、少子化対策といった日本社会が直面する課題に鑑みれば、政官民一体となって消費税率引き上げによる影響を乗り越え、内需の拡大とデフレ脱却を確かなものにしていかねばなりません。流通業界においても、消費の一層の活性化に向け、サプライチェーン全体で知恵を出し合っていくことが求められます。
その際、価格表示は重要な関心事です。当協会は予てより総額表示の義務付けの廃止を訴えて参りました。その結果、時限的な特別措置ではあるものの、本体価格表示を可能とする道が拓かれました。これにより、商品本体の価格をお客様にお伝えし、お客様が負担する消費税額を“見える化”させることができるようになりました。当協会では、引き続き流通業界の力を結集して、総額表示の義務付けの廃止に向け活動を進めて参ります。
また、軽減税率につきましても、予てからの主張通りこの制度の諸課題に鑑み、将来において慎重かつ冷静に議論すべきであり、「10%までは単一税率の維持」を引き続き訴えて参ります。
チェーンストアは、多様な地域・業態・規模に展開し、生活者に最も近くに位置して地域の生活と経済を支え、まさにライフラインとして重要な役割を担っています。さらには、各地域で多くの雇用を創出し、まさに社会の中心的存在として地域社会に貢献しているところです。その一方で、消費増税だけでなく、食品の安全・安心への取り組み、環境と経済の両立、様々なリスク対応を始めとして、我々を取り巻く諸課題は山積しております。
その中で我々日本チェーンストア協会は、活力ある経済社会の再構築への積極的な提言を行うとともに、より強い協会づくりに向けた事業活動の再活性化を運営方針に掲げ、業界をリードする存在であることを常に意識し、業界発展のため、日本社会の更なる向上のため、困難な課題に対しても果敢に挑み続けています。
一昨年、特別賛助会員企業との共同事業としてスタートした、「チェーンストアお買い物川柳」につきましては、昨年第2回目を開催し、お陰様で大変多くのご応募をいただきました。また、企業や業界の枠にとらわれることなく、広い視野を持った次世代を担うリーダーを育成するとともに、企業間交流を通じ一生涯続く人間関係を築くことを目的に、「流通未来大学校」を昨年新たに創設致しました。通常会員、特別賛助会員企業の精鋭が毎月集まり、業界を代表する経営者や有識者の講義を受けるとともに、活発なディスカッションが行われております。参加者の意識も高く、前向きな若い世代の人たちを見ると、私も毎回元気づけられているところです。
日本チェーンストア協会は、チェーンストアの役割と責任の重さを再認識するとともに、引き続き、生活者の利益向上と豊かで潤いのある社会の実現を追求するため、時代の流れや社会環境の変化などを注意深く見つめながら、会員各社の結束力を強化し、課題の解決に向け積極的に活動して参る所存です。
皆様には、本年も変わらぬご支援ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げますとともに、皆様のますますのご健勝とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。