新年あけましておめでとうございます。平成28年の新春を迎え、年頭にあたりまして、新年のご挨拶を申し上げます。
戦後70年という大きな節目であった昨年は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の大筋合意、安全保障関連法の成立等、日本社会が新たな局面を迎える大きな動きがありました。そして流通業界におきましては、消費税の複数税率(軽減税率)問題が大きな影を落としました。当協会では予てより、税率10%段階では単一税率を維持し、低所得者対策については、簡易な給付措置の拡充などで対応すべきであると訴え続けておりました。しかしながら、昨年末、我々の声を聞き入れることなく政治決着により、平成29年4月から複数税率が導入されることになりました。
誠に遺憾であり、導入までの準備期間が極めて短いことも大変心配されるところではありますが、人々の生活と地域社会を支えることを使命とする我々流通業としては、店頭での混乱が生じることのない体制を整えていかなければなりません。また、お店の中に複数の税率が存在する中にあっては、お客様に対して商品本体の価格を適正にお伝えする重要性も一層高まりますので、総額表示の義務付けを恒久的に廃止することが必要です。チェーンストア協会では、これらを含め、会員各社が新しい消費税体系に対して適切に対応できるよう全力を尽くしてまいります。
一方、経済環境並びに直近の11月、12月の年末の消費動向に対する実感としては、将来見通しに対しての不安から極めて慎重な心構えの様相であり、本格的なデフレ脱却は感じられません。消費回復が本格化し、人々の暮らしが明るくなるよう、政府の積極的な経済政策に改めて期待するところです。もちろん政府に頼るばかりではなく、政官民が一体となって経済の再活性化を確かなものとしていかなければなりません。
また、長期的な視点で見ると、人口減少や高齢化、中間所得層の減少等、日本社会の構造的変化が急速に進んでいます。その中で、生活者に最も近くに位置し、地域の生活や雇用、そして経済を支え、ライフラインとして重要な役割を担っている流通業界は、安全で安心な商品や快適で便利なサービスを生活者にお届けするのはもちろんのこと、生活者のニーズに合わせた様々な事業活動を創出し、地域社会並びに日本社会全体の活性化のため、更なる発展を遂げていかなければなりません。
このような中、我々日本チェーンストア協会は、「豊かで活力ある経済社会」の再構築への積極的な提言を行うとともに、「より強い協会」づくりに向けた事業活動の再活性化を運営方針に掲げ、会員企業が一丸となって活動を進めています。各種制度改正への対応や意見具申、環境・リスク対策、公正取引の推進等に取り組むとともに、人材育成や消費活性化策等についても積極的に取り組みを進め、まさに流通業界を代表する団体として日本社会全体の発展向上に寄与することを常に意識し活動を続けています。
日本チェーンストア協会は、戦後、“日本の暮らしをもっと豊かにしたい”という高い志でチェーンストア事業を始めた創業者たちの熱い想いが結集して、1967年8月に設立しました。これまで約半世紀にわたり今日まで、我が国の成長とともにチェーンストアは飛躍的な発展を遂げ、私たち協会はその事業活動を支援してまいりました。私たちは設立当初の想いを忘れることなく、これからもチェーンストアを取り巻く事業環境の改善を通じて、生活者の毎日の暮らしを支え、さらに豊かで活力にあふれた潤いのある社会を実現するため、引き続き活動を進めてまいる所存です。
皆様には、本年も変わらぬご支援ご協力を賜わりますよう何卒よろしくお願い申し上げますとともに、皆様のますますのご健勝とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
以上